これからLINEで魚を販売・受注したい方とすでに始めて困っている方へ
鮮魚EC販売で難しさを感じた
魚をオンラインで売ろうと考えたとき、多くの方はまず「サイトを作る」「EC」「カートシステム導入」を考えます。いざ商品をオンラインに掲載しようとすると手が止まります。当日にならないと何がどれだけ入るか読めないため、「この魚は掲載できないな」となり載せるものがほとんどなくなります。
同じ「鯛」でも、今日と明日ではサイズも質も値段も違います。シケが続けば載せていた商品が丸ごと無い日も出ます。入荷はしたけれど今日はすすめられない、という日もあります。決まった商品を登録し、売れたら在庫を減らし、切れたら補充する——という普通のECの型が、鮮魚では難しいのです。
LINE受注で難しさを感じた
鮮魚には固定の商品を掲載するECではなく「幅を持って調整して受注できる」仕組みが向いています。LINEのようなテキストによる受注はその代表です。「築地のサブちゃん」も、注文をLINEチャット(テキストメッセージ)で受け付けています。ECではなく買物代行という形で運営をしているのは、このような鮮魚の特性を踏まえてお客様がより適切な商品を適正な価格で購入できるように考えた結果です。
ただし、LINE受注にはLINE受注なりの難しさがあります。カタログも在庫表示もないので、何を買っていいのか0からお客様が思いつく必要があります。何が欲しいかをお客様が自発的に言語化して発注することは難しいことが多く、商品リストなど何の情報もない場合は注文は来ません。また、希望商品の解釈に幅を持たせたり、良かれと思って気を利かせた鮮魚を届けると「思っていたのと違う」ということが起きます。さらに、売り切れたらそれで終わり、という鮮魚売り場では、時間との戦いであり、受注件数が増えると1対1のやりとりは対応しきれなくなります。手軽に始めたLINE受注やInstagram受注を始めてみたけれど思ったようにスムーズに注文がさばけない、というのはこのようなメッセージで受注する特性によるものです。
この記事でわかること
この記事では、LINEで1件の注文が成立するまでの全体像を俯瞰し、注文受付に必要な各ステップにおいて、どこが難しく、どう対応しているかをご紹介します。これからLINEで鮮魚の受注を始めてみようと考えている方は「LINE受注の全体像」から、すでに始めてみて難しさを感じている方は「課題1」以降が関連が深い箇所です。買物代行である築地のサブちゃんでどう実践しているのか、ECや産直など他の業態ではどう実現できるか、から鮮魚のオンライン販売を実現するヒントとしていただければ幸いです。
なお、決済の方法や配送日指定といった一般的なEC手順は、鮮魚に固有の話ではないため本記事では扱いません。
LINE受注の全体像 - LINEで1件の注文が成立するまで
お客様からのLINEによる注文から商品が届くまでの全体像を整理します。

- 入荷情報を発信する
多くのお客様は何があるか全くわからない状態では発注ができません。今日どんなものが入荷しているかは販売者しか分からないため入荷状況の発信が必要です。 - 条件に幅をもたせて受注する
「大間産の天然本マグロ柵(赤身)を5000円以内で」のような「特定の商品」ではなく、予算・用途・好みといった要望からある程度の幅をもたせて受注します。極端に商品を絞り込まないため、当日の入荷状況に合わせて商品を販売することが可能になります。 - 商品を調整・確定する
幅を持たせて受注している場合、注文されるお客様と販売する店舗側で認識にズレが生じる場合があります。写真や情報を含めて「最近はこの産地の状態が良いからこれが良い」など、両者で合意を取ってから注文を確定します。 - 決済・配送
調整した内容を注文・商品として登録すれば、これ以降の後続プロセスは一般的なECと同様に扱えます。
通常のカート型ECとの違いは、選ぶ主体と順番にあります。カート型は「お客様が掲載されている商品リストから選ぶ」一方で、LINE受注は「お客様から一定の条件の幅をもたせた注文を受け付けて、入荷状況に合わせて販売側が選択する」となります。
次節以降では各ステップの課題を紹介します。

課題1 LINEアカウントを開設しても注文が来ない ― 発信して注文のきっかけをつくる
「LINEで受注をしよう!」と思い立ちLINE公式アカウントを開設してみて、なんとかお友達登録もしてもらったが、実際には注文の連絡がほとんどない、という経験をされる方も多いです。LINE公式アカウントに登録されても自動的に注文は発生しません。LINEには商品リストも価格もないためです。お客様から見ると、何も並んでいない「魚屋」とだけ表示されている店舗から「タイください」と言うのは、かなり難易度が高い注文方法となります。この課題を解決するためには、注文する商品を「想起するきっかけ」を用意する必要があります。
築地のサブちゃんでの情報発信
築地のサブちゃんでは、当日の入荷・相場・おすすめを築地のサブちゃんから先に発信します。目的はとにかくこの商品を買って欲しい、というものではなく「こういうものが欲しい」とお客様に思い出してもらうことです。「このタイください」「先週入荷していたような天然本マグロ柵をください」のようなコミュニケーションのきっかけになるような情報発信です。
発信は性格の違う2種類を使い分けています。
(1)幅広く見せる発信 ―「想起のきっかけ」をつくる
求めるものは人によって違います。網羅性を優先して幅広く商品を見ていただけるような工夫をしています。こちらの写真サイトのように店舗の売り場をご覧いただけるようにしています。ここでの狙いは「これが欲しい」とお客様の欲しいもののイメージを引き出すことであり、その商品をそのまま買ってもらうことではありません。具体的な商品は後述する受注のやりとりの中で調整します。目的が想起である以上、配信頻度は多少落ちても問題ありません。
例えば、活魚のエリアを網羅的に配信していることで、「明日、品質のよい活魚が必要だから、今日のこの天然タイのような品質のものがあったら欲しい」というようなご依頼につながっています。
(2)代表的な商品を絞って見せる発信 ―「今日使うきっかけ」をつくる
多くの場合網羅的な商品リストは商品数が多く選ぶことができません。「今日何を依頼しようか」という鮮魚らしい当日までわからない面白さをオンラインでも実現するために代表的な商品を絞り込んで発信します。例えば、その日状態が良いもの、たまたま入った珍しいものなどを、カテゴリ単位で代表的に絞り込んで配信します。あえて候補を絞ることで「今日使うきっかけ」をつくります。
例として、ウニの入荷状況は毎日網羅的に発信していますが、奥尻島のウニが解禁されたタイミングでは「今日から奥尻島のウニが充実して並んでいる」ことをピックアップして伝えることで「そのウニください」や「今週は買えないので来週購入予定でください」などの注文のきっかけになっています。
同じ「入荷情報の発信」でも、(1)は網羅性を重視して発信頻度は無理せず続けられる範囲で、(2)は発信する情報を絞り込んでその日ならではの情報を発信します。狙いが違うので、頻度と粒度の設計も別になります。これを一本の配信にまとめようとすると大量の情報で溢れたり、情報が絞り込まれすぎたり、と混乱してしまう可能性があります。LINE受注の2つのきっかけを意識した発信設計が必要です。
課題2 何がどれだけ入荷するか読めないのにどう受注するか ― 「幅」を持たせて受注する
鮮魚類は当日まで入荷見込みが立たないことが多く、商品を事前に完全に固定して受注することはできません。これこそが通常のECとして扱えない主な原因です。例えば「天然タイを1匹」と指定で受けても、今日は入荷がなかった、価格が2倍になっていた、今日の身質はすごく良い/悪い——ということが常態的に起こります。相場も大きく動くため価格も先に決定することができません。価格を先に決定しようとすると過剰な余剰を乗せて割高な価格設定にせざるを得ません。
さらに問題を難しくしているものとして、人によって「同じ商品」の定義が異なることです。「大間産の天然本マグロの赤身柵が欲しい」という依頼に対して、産地はそこまでこだわりがないので天然本マグロの赤身柵なら何でもよいのか、大間産でない場合は不要なのか。人によっては天然/養殖の指定も特にこだわりがない、天然本マグロであることが重要で赤身でも中トロでもよい、などこの線引きはお客様ごとやその用途によって違います。
築地のサブちゃんでの受注例
(1)要望の「幅」を作って受注する
商品を特定して個別の商品だけを受注するのではなく、予算・用途・好みのような幅を持たせて受注します。実際の注文は以下のような様々なパターンがあります。
| 幅の持たせ方 | 実際の注文の例 | 販売側にある自由度 |
|---|---|---|
| 用途のみを指定 | 「カルパッチョにするために白身の刺身柵が欲しい。種類は問わない。」 | 魚種そのものを当日の入荷から選べる |
| 魚種や価格帯の指定 | 「カツオ1/4柵で3000円以内のもの。背優先。」 | 産地・サイズ・部位を当日の入荷から選べる |
| 幅なし(ピンポイント) |
「大間産の天然本マグロ赤身柵を1つ、5,000円未満で」 | あるかないかの2択 |
上の例における2つのように幅がある注文は、当日の入荷状況を考慮して提供する商品を決められるため、商品を特定の魚種などに固定する必要がありません。「当日まで入荷状況がわからないから売れない」という制約が発生しにくくなります。
(2)「必須の条件」を見極める
幅をもたせて受注するために実際に調整していくのは「必須条件」「優先条件」です。注文の中のどの条件がそのお客様にとって本当に必須なのか、優先すべき条件は何か、を理解します。
魚種・産地・用途・数量・価格——注文にはいくつもの条件が並びますが、そのすべてを必須としてお客様が希望されることは稀です。たとえば「境港のマグロの赤身柵を1つ5000円以内」という注文でも、赤身であることが必須の方もいれば、産地が必須の方もいます。赤身であることは必須だけど、産地は境港を食べてみたいけどそれ以外でもよい、という優先したいが必須ではない方もいます。刺身柵なら何でもよいという方もいます。もちろん、全ての条件が必須という方もいます。同じ文面でも、外してよい条件と外せない条件は人によって違うのです。また、その条件を発注者側が適切に表現して発注する、ということは難易度が高く、お客様に全ての条件を網羅して発注いただくことを求めることは非現実的です。
そのため、ピンポイントに見える商品の受注時も、「それは入荷が無い」でお断りにはしません。本当に必要な条件が何かを具体的に確認することで、その「ピンポイントの要望」が本当にピンポイントなのかを確かめます。確かめてみると幅があった、ということは珍しくありません。過去に築地のサブちゃんであった例をご紹介します。「天然ヒラメの刺身柵が欲しい」というお客様に対してよく確認してみると「白身のカルパッチョにするので、天然でなくてもよく、ヒラメが好きだからヒラメ優先を希望するが、いいものの入荷がなければ白身の刺身柵ならなんでもよい」という幅を持たせて受注できたことがあります。これであれば何も届けられない、ということはなくなりますし、お客様としても「入荷がなかった」と断られることもほとんどのケースでありません。
この見極めは通常のECでは実現が難しいため、LINE受注が活きてきます。ただ、LINE受注においてもこのステップを省略すると、幅を持たせて受注する設計そのものが機能せず、LINE受注の良い部分が一部実現できなくなります。また、お客様は適切にこれらの条件を表現することは難しいため、受注側からどの条件が必須なのか、優先なのか、をプロアクティブに見つけるコミュニケーションや仕組みが大切になります。
他のサービスでの対応方法
サービスによる受注方法の違いは、幅の埋め方にあります。フォームやサブスク(定期便)という型をつくり商品に幅を持たせて受注できるようにすることで、1件あたりの対応工数を下げて注文数をさばけるようにしています。築地のサブちゃんの場合には、LINEにより都度「必須条件」「優先条件」を確かめて個別のお客様の注文条件を特定します。前者は速く、後者は細かい、というのが特徴で、対象とするお客様や求めるサービスによって適切な方法が変わります。
課題3 おまかせだと「思ってたのと違う」が起きる ― 写真と対話で確定する
鮮魚は条件幅をつけて受注するほど、届いた実物とお客様の期待がズレるリスクは上がります。任せてもらったのだから条件に合えば何でもよい、とはなりません。ここを放置するとクレームになり、次の注文につながらなくなります。希望条件の幅をつけて受注する運用は、注文内容の調整・確定の方法と合わせることでお客様に適した商品を確実にお渡しできるようになります。
築地のサブちゃんでの対話例
お客様からの商品条件が曖昧な場合や複数の候補が考えられる場合、用途や入荷状況を考慮して、より適した商品がある場合に築地のサブちゃん側からお客様に条件や商品の提案をします。必要な場合は写真を添えたり、補足情報をお伝えすることで、双方がイメージする商品の合意を取ってから注文を確定します。お客様からの要望に幅を持たせた受注内容を、築地のサブちゃん側で過剰に考慮範囲が広がっていないか確認する工程です。「お客様の指定どおりならなんでもよい」と勝手に決めて送るのではありません。お客様の想定している商品範囲と実際の入荷状況や築地・豊洲市場の商品ラインナップを把握している築地のサブちゃんスタッフでは持っている情報量が異なるため、商品入荷見込みをより理解している受注側だからこそ可能な条件幅の決定方法です。
このとき重要になるのは前節の「必須の条件を見極める」です。希望条件の幅を理解しておき、必須の条件を導き出したうえで受注側から提案するので、過剰に商品を特定せず、過剰に広げずに受注が成立します。築地のサブちゃんが販売しているのは商品そのものではなく、今日の入荷の中から選ぶ判断です。
実際に以下のようなやりとりがありました。
注文日の当日に、本来は事前予約が必要なお刺身盛のご注文の連絡がありました。通常であれば予約品のため準備が間に合わないためその場でお断りになります。実際に話を聞くと、ご家庭でお使いになる予定で、お刺身のカットもご自身で可能とわかりました。そこで、お刺身盛ではなくお刺身柵の組み合わせをご提案し、お客様としてもご希望通りという合意ができましたので、その日のうちに注文が確定して当日にお届けできました。私たちとしても受注を適切にでき、お客様としてもその当日に必要なお刺身を確保することができました。
この時の対応で起きたことは、在庫を増やしたわけでも、無理に融通したわけでもありません。「お刺身盛が欲しい」という要望を「家庭で刺身を食べたい」まで分解したら、必須条件は"盛り付け"ではなかった、ということです。断るしかなかった注文が、条件を確かめることで成立しています。LINE注文の特徴である前節の見極めと本節の調整が、そのまま受注の成否とお客様の満足度に効果がでている好例です。
課題4 件数が増えると捌けない・属人化する ― 型化と対話の線引き
ここまでのやり方は、1件ごとに発信、お客様の注文の確認と調整、提案して確定する、という手順です。件数が少ないうちは回りますが、注文数の増加に伴い対応できる注文数に限界がでます。手順が決まっていなければ特定の人がいない日には受注が止まります。また、鮮魚は午前中に出荷、など時間に追われている場合も多くあるため、注文数が多いからといって時間をかけていいわけではない、という事情もあり一定の型化や効率化は必要になります。
鮮魚店や市場ごとに事情が異なるため、LINE受注の導入当初から全ての効率化を考慮する必要はありません。注文が増えて軌道のってきたタイミングで「型にしてよい部分」と「人が入り続ける部分」を分けることで、一部を自動化や効率化することでさらなる注文増や品質の安定化をすることができます。導入当初から全てを自動化しようとしたり、注文が増えてきても全てを手作業のままにしても、どちらも行き詰まってしまいます。
築地のサブちゃんでの効率化例
型にしている部分 ―「毎回考えなくていいこと」を全部定型化する
注文日・配送先といった必須の確認事項は定型化し、商品の調整以外の部分はすべて型に落としています。さらに商品の調整についても、数量・価格帯といった必須確認項目を決めておき、不足があれば都度確認する、という手順自体を定型化しています。定型的な確認だけであれば作業負荷も低く、発話数が増えても対応時間自体はそこまで変わりません。むしろ、必須事項をきちんと定型的に確認がされているので、不要な確認を後でぶり返すことがなく全体として効率化されます。このように、型にしているのは「対話を減らすこと」が目的ではなく、対話のうち考えなくてよい部分を省略・簡略化し、付加価値の高い判断や調整に時間を割り当てることです。
人が対応する部分 ― 商品の調整
逆に、商品や品質が曖昧な部分は必ず人がチェックします。ここは無理な自動化や定型化はしません。分かりやすい例として「いつもと同じで」という注文があります。一見最も自動化しやすそうに見えますが、実際にはその日によって品質もサイズも違うため、要望とその日の入荷状況を照らし合わせる必要があります。前回と同じ名前の魚が今日も同じ質とは限らないからです。「いつもと同じ」を機械的に処理しつづけると入荷状況によって「いつものやつはもっと大きかった」のようにお客様が意図しない商品が届くことになります。
例えば、「前と同じ天然マダイ半身」というご注文に対して、「先日ご購入いただいていた天然マダイの半身に比べて今回は相場が上がっており、同等の品質確保のためには倍の予算が必要になります。よろしいでしょうか?」というような調整が必要になります。
機械的に対応できる調整に加え、お客様との確認や確定した情報の自社内のDBへの記録といった周辺の作業についても、昨今のAI活用で一部を自動化できる余地があります。築地のサブちゃんではすでにAIを裏側で導入し、お客様対応における付加価値の高い判断に従業員が注力できるように進化を続けています。例えば、お客様の非定型の注文情報からデータを構造化し、DBに登録する、というような活用をしています。このような効率化についてはそれぞれの運用現場で状況が異なり、様々な方法があるため今後別の記事で扱います。もし、すでに効率化でお悩みの方は、業務効率化のご支援についてのページをご覧ください。
では自分の店はどちらに寄せるべきか——次節がその判断になります。
LINE受注が向く店・向かない店・その他の方法
ここまで鮮魚のオンライン販売に向けたLINE受注の対応方法を書いてきました。LINE受注は鮮魚に最適で、ECよりも良い、ということではありません。本節では「どのような店舗や市場でLINE受注を検討するとよいか」を考えます。
LINE受注の特徴と弱点
LINE受注は、情報発信をきっかけに、お客様の希望の幅を調整・対話で確定する方法です。お店側とお客様との関係が構築されている店舗では調整や対話がスムーズに進むため、そのまま受注品質を一定に保つことができます。商品を固定できない鮮魚とLINE受注の相性が良いのもこのお客様とお店側の関係性があるおかげです。
一方で対応するための人手が必要です。1件ごとに確認と提案が必要となるため、対応できる注文件数には上限があります。前節のように効率化や自動化をすることは可能ですが、お客様との対話は一部必要で、付加価値の高い部分となるため今後も残り続けます。
これらの特徴を考慮して自社の販売する商品や販売モデルに適しているかを判断していきます。
LINE受注に適した店舗
| 店舗特徴 | 受注方法 | 理由 |
|---|---|---|
| 常連/関係性重視・高品質・小規模 | LINE型 | 長所: 商品選択の主導権を店に残す 短所: 人手が必要で件数に上限がある |
| 数を対応したい・おまかせ | フォーム/サブスク型 | 長所: 予算・おまかせで当日入荷に合わせられる 短所: お客様側の細かい要望は反映しにくい |
| 通常EC型で自動化・大規模・人手確保可 | 通常EC(日次商品マスタ/在庫化) | 長所: 固定型ECで自動化可 短所: マスタ・価格メンテナンスが必要 |
|
飲食店等で詳細要望に対応・EC化要望強 |
ECとLINEなどのハイブリッド | 長所: 急な要望を人が吸収できる 短所: EC化が機能せず工数が膨らむ |

LINE受注以外の方法
フォーム受注/定期便にする
Google Formsのようなフォームとして受注することでLINE受注に比べて多くの注文数に対応することが可能です。お客様からお店側に柔軟な発注要望として依頼可能なためLINE受注のような柔軟性を持っています。LINE受注のような確認や調整の工程が存在しないため多くの注文を同時に受け付けることが可能です。お客様要望の範囲内で、店舗側で柔軟に商品選択が可能です。一方で、発注内容についての調整ができないため、「思っていたのと違った」という状態が発生しやすく、お客様側が適切に要望を幅をもって伝えられることや、お客様とお店側ですでに理解が進んでいる場合に有効です。逆に、初めての一般のお客様のように、「思っていたのと違った」に対しての許容範囲が狭いお客様の場合はトラブルが多くなる可能性があります。
定期便のおまかせBOXのように、店舗側で商品の選択をすべて行う、ということで受注量を増やすことが可能です。発送日や商品をすべて店舗側で決定することができるため、入荷状況の良いタイミングで良い商品を提供することが可能になります。お客様との調整工程もないため、多くの注文を同時に受け付けることが可能です。一方で、お客様側の要望が反映されないため、お客様側がお店を信頼し、お店の世界観や判断基準に納得する必要があります。
EC化する
通常のECとして商品マスタを登録して対応する方法ももちろんあります。既存のECシステムは多く存在するため、そのインフラを活用することが自動化・省力化をして多くの受注が可能になります。鮮魚ならではの毎日商品の内容が異なる、という部分をどのように商品マスタに登録するのか、はコツが必要ですが、商品マスタの登録、在庫管理、マスタの入れ替え、のような人手が十分にある場合に対応可能です。お客様も使い慣れたUIで「欲しいものをポチポチ」することで購入可能となるので利便性も高い方法です。一方で、マスタ登録や更新の難易度や負荷が非常に高いため、人手が潤沢にいる、または、ECで販売する商品数は絞り込む、というお店に適しています。
八面六臂さん、魚ポチさん、豊洲市場ドットコムさん、など一定規模の大きなサービスでは商品マスタを日々更新してサービスを提供されています。
ECやフォームとLINEのハイブリッド化
ECやフォームによる定型化と自動化は魅力的で、その恩恵を受けながら、個別対応が必要な箇所にはLINEや電話などで個別の調整を行う、というハイブリッドで運用することも可能です。前節で述べたような定型化できる部分と個別で対応すべき部分を整理した結果、このようなハイブリッドになることは珍しくありません。「自動化・効率化」をECやフォームで実現し、「柔軟性」をLINEや電話で補うことで、鮮魚店らしさを残して効率化を行うことが可能になります。一方で、LINEや電話の部分とシステム化されたEC部分や型が決まっているフォームが共存する場合、効率化のために設計した型やシステムに対してイレギュラーな要望が入り込む可能性があり、この業務設計を適切にしない場合には良いところの両取りではなく、工数がかかる悪い部分の両取りになってしまう可能性があります。複雑な業務設計やシステム設計を行える方に向いています。
大きく言えば、打ち手は「自動化して数を捌く」か「変動を人が対話で吸収する」のどちらかに寄せることになります。客層と求める柔軟性で決まります。常連中心で要望が細かいものを全て自動化するとお客様の要望を反映しきれず顧客体験を損ないます。販売量数が必要で商品が定型化しているものを全部を対話型で実現しようとすると対応工数が不足します。これらのバランスをとった仕組みづくりが必要になります。
まとめ
この記事では鮮魚をオンラインで販売するために、LINE受注を中心にまとめてきました。
- 鮮魚は当日まで入荷が読めず、商品を固定して並べるカート型ECの構築を単純に導入することができない。
- LINE受注の場合、店舗側から情報発信によってきっかけを作り、要望の必須の条件を見極め、対話で確定する——という幅を持たせた受注によって1件の注文を成立させられる。
- 鮮魚のLINE受注は常に最適ではなく、一定自動化も可能だがある程度は対応のために人手が必要で件数には上限がある。注文数を優先する場合には柔軟性を落としたフォーム/サブスクの方法や、商品マスタメンテナンス工数を割いて通常のEC構築を行う方法がある。どの方法をとるべきかは客層と柔軟性、商品数や割ける工数の大きさで決まる。
もし今、「LINEで受注するのが良さそうだが、何から手をつければいいか分からない」という状態なら、まず情報の発信から始めるのが確実です。仕組みを入れる必要がなく、入口を開けないことには何も始まらないからです。
自店の客層・入荷・人手から、LINE受注を主軸にすべきか、それとも別の方法が向くのか——一緒に棚卸しすることもできます。築地のサブちゃんの運営会社であるシーレ株式会社では、鮮魚事業者向けにLINE受注の設計・運用支援を行っています。まずは以下よりお問い合わせお待ちしております。オンライン販売に向けた具体的な解決相談のサービスはこちら。
